映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を観て

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前から気になっていた映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(以下、「ウィンストン・チャーチル」と呼ぶ)(2017)を観たのでざっくりと感想を。

なぜこの作品が気になっていたかというと、僕の好きな役者さんであるゲイリー・オールドマンが主演を務めていて、かつ彼がその何十年ものキャリアの中で初めて米国アカデミー主演男優賞を獲った作品だから。

なお、この作品の邦題の副題が「ヒトラーから世界を救った男」と名付けられているからというわけではないけど、同じ第二次世界大戦のドイツ側の立場を描き映画化された「ヒトラー 〜最期の12日間〜」(独題「Der Untergang」)(2004年)(以下、「ヒトラー 〜最期の12日間〜」と呼ぶ)との比較を随時入れてみたいと思う。

ゲイリー・オールドマンは安定のすごさ

やはりなんといっても僕が注目していたのはウィンストン・チャーチル首相を演じたゲイリー・オールドマン。登場シーンからもう「ああチャーチルってこんな感じだったんだろうなあ」と思わせるなりきり具合。中盤までにはもうチャーチルにしか見えなくなる。まあ本物に会ったことはないし近代の高解像度の映像で見ることもできない人物なわけだけどね。

「ヒトラー 〜最期の12日間〜」でドイツの名優ブルーノ・ガンツが演じたアドルフ・ヒトラーと比べると、ガンツが演じたヒトラーがブルーノ・ガンツという素晴らしい楽器を通して独裁者ヒトラーの内面にミリ単位の緻密さで迫る楽譜を再生しているかのように感じられたのに対し、本作「ウィンストン・チャーチル」のゲイリー・オールドマンはもう完全に役に溶け込んでいて素の役者としての彼の存在はほとんど感じられないほどだ。

これはいつものオールドマン節というか「トゥルーロマンス」(1993)「ハンニバル」(2001)などの作品と共通している彼の持ち味という感じがする。

「ヒトラー 〜最期の12日間〜」のヒトラーは、女性には絶対に声を荒げたりせず常に紳士的な男として描かれていたけれど、本作「ウィンストン・チャーチル」のチャーチルは女性にも声を荒げるし、朝から酒を飲み昼間にも飲みそして夜にも飲んでいる困ったおっさんとしての一面が描かれている。対比してみると面白い。

イギリス国王から「よく昼間から飲めるね」と言われたチャーチルが「鍛錬ですな」と答えるシーンが好き。

イギリス英語は難しい

僕はアメリカ英語ならまあまあ聞き取れるけど、イギリス英語は発音が違うから難しい。違いは色々あるけど、個人的にキビシイなぁーと感じるのは語尾のRが消えること。「Over」がアメリカ英語なら「オーヴァー→(舌を引いて下げる)」だけど、イギリス英語では「オーヴァ→(フッと消える)」という感じ。

日本で普通に英語を独習すると音声教材は圧倒的にアメリカ英語が多いと感じる。なので特に意識しない限りアメリカ英語の耳になる。僕の愛読書「DUO3.0」は完全にアメリカ英語。

だけれども、この作品の登場人物たちは英国王とか政府の閣僚とか上流階級の人たちばかりなので、英語はやはり綺麗だと感じる。日本で教えられる教科書通りというかスラングや崩し文法などはほぼないと思う。

地下多くビジュアルは地味

本作「ウィンストン・チャーチル」はビジュアル的には地下壕が多く地味。広大な戦場での大規模戦闘シーンなどはない。地下壕が多いのは「ヒトラー 〜最期の12日間〜」も同じだけども、こちらはそれ以外のシーンもあり場面転換は豊富。なので「ウィンストン・チャーチル」はもうゲイリー・オールドマンの円熟した演技の真骨頂を鑑賞するのが楽しみの核になると感じた。

彼の登場シーンを計ってはいないけど、まあたぶんほとんどのシーンにチャーチルが写っている映画という感じだ。ちなみに「ウィンストン・チャーチル」の製作費はおよそ40億円で、いっぽうの「ヒトラー 〜最期の12日間〜」はおよそ19億円だそうだ。

以下、若干ネタバレ注意

以下、若干ネタバレ注意

でも作品として地味ということは全くない。古臭さや時代遅れと感じさせるような点はなくちゃんと2017年の映画だ。場面転換はテンポよくBGMの差し込みタイミングも気持ちが良い。感動やカタルシスもちゃんと用意されているのでご安心を。

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