「ドイツ、クーデター計画容疑で25人逮捕」を見て

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12月7日のBBCニュースジャパンの記事「ドイツ、クーデター計画容疑で25人逮捕 議事堂襲撃を画策と」を見て思ったことを書く。

記事の内容をざっくり要約すると、2022年12月7日にドイツ連邦警察が、クーデターを計画した容疑で国内11州で25人を逮捕したとのこと。この企てにはドイツ貴族の末裔、極右関係者、元軍人などが参加していたそうだ。

クーデター計画には、ドイツ警察がかねて監視対象にしていた極右勢力「ライヒスビュルガー(帝国の住民)」運動の関係者も含まれているという。「ライヒスビュルガー」は現代ドイツ国家を認めず、暴力を推奨し人種差別的な陰謀論を掲げている。

https://www.bbc.com/japanese/63884601

このグループの中心的人物が「ハインリヒ13世」と呼ばれる71歳の男性だったそうだ。この人はドイツの古い貴族の末裔で、この人の占有というわけではなく一族としてはいまだに複数の城を持っているそうだ。

日本で起こりうる?

日本でもいろいろな軸での分断(富裕/貧困、高学歴/低学歴、高知能/低知能)が深刻になっているけれども、では日本で今回ニュースになったような組織が勃興する可能性はあるかと考えると、僕は可能性としては低いと思う。

今回のドイツのケースでは首謀者が貴族の末裔ということだけど、そこには資金力や各方面へのコネクション力といった属性以外にも、やはり貴族という「由緒」がリーダーにふさわしいという情緒的な面から支持を得たという背景があるのではないかと想像する(違うかもしれないが…ドイツ人の「貴族感」がよくわからないので)。

いっぽう日本で、たとえば「戦国武将の末裔」とか「華族の末裔」という属性を持つ人に対して、現代の日本人が何らかの魅力、反体制活動に関わることで命を失ったり長期間にわたって自由を奪われるかもしれないリスクを冒してまで担ぎたくなるだけの魅力があるかというと、たぶんないだろう。

そうした存在はたぶん今の日本には天皇しかありえないと思うけど、天皇に「君らのやってることは認めない」と言われたらおしまいなわけで。二・二六事件がまさにそれだったわけで。

リーダー不在の日本

最近、以下の2冊の本を読んだのだけど、

  • 「経営リーダーのための社会システム論」(宮台 真司, 野田 智義)
  • 「【新装版】危機の構造――日本社会崩壊のモデル」(小室 直樹)

この2冊の内容をふまえて、ここから先は完全に僕の想像だけれども、日本にリーダーが不在なのはおそらく近現代に限ったことではなく、それ以前からずっとそうだったのではないかな。すべては社会システムによって責任者不在のまま「なんとなく」決定され、リーダーらしき人はいるけども「出る杭」になると潰される。この程よいさじ加減を心得た人だけが長期にわたって安定した統治をすることができる。

なので、日本には担ぐに値する「貴族の末裔」などいないし、かつ、右翼の人たちはネトウヨを除いて基本的に資本主義社会の中で一定の成功を収めている人たちが多数派というのが僕の個人的な印象だ。だから「政府が俺たちの先祖代々の土地を奪いやがった!」などと沸々と政府に怒りをたぎらせている極右の人たちというのも存在しないのではないかと思う。そうした人たちは明治初期にはすでに士族反乱の鎮圧で狩りつくされてしまったわけで。

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