SPAS-12【ポンコツから1流の映画スターになったイタリアンショットガン】

SPAS-12【ポンコツから1流の映画スターになったイタリアンショットガン】 銃とサブカル

今回の記事では、数々の名作映画に登場し、まさに映画スターともいえる「フランキ・SPAS-12ショットガン」を紹介します。

以下の動画の音量注意

フランキ・SPAS-12とは

フランキ SPAS-12
種類ショットガン
作動方式セミオート/ポンプアクション切替式
口径12ゲージ
装弾数6+1発
全長1070㎜
重量4,000g
フランキ・SPAS-12のスペック

SPAS-12は1980年にイタリアのフランキ社が開発・製造したショットガンです。SPASとは(Special Purpose Automatic Shotgun)の略で、日本語では「特殊用途散弾銃」となります。特殊用途とは警察と軍用という意図だったのですが、後述するようにこのショットガンは構造上の問題が多く本格的に警察や軍に採用されるには至りませんでした。

フランキ SPAS-12

SPAS-12を斜め上から見たところ。バレルとマガジンを包み込む巨大なヒートシールドと、これでもかと言わんばかりに長いフォアエンド(フォアグリップ)がSPAS-12の外観上の最大の特徴。

SPAS-12のストック

SPAS-12のキャラクターを語る上で外せないのがこの無骨で力強いストック。もちろん折り畳み可能で折りたたんで銃本体の上に鎮座させた様はさながらSF映画の架空銃のごとき異世界感をもかもし出します。フックみたいなパーツは腕に引っ掛けて片手撃ち時の安定性を向上させるためのもの。

フランキ SPAS-12

SPAS-12を下から見たところ。横や上から見た場合と比べ一般的なポンプアクションショットガンと比べてもそれほど際立った違いはありませんが、フォアエンドに取り付けられたポンプアクション/セミオートの切り替えボタンが特徴的です。

故障が多い構造

SPAS-12を実際に警察や軍やセルフディフェンス用途に採用するうえで障害になったのは、構造の複雑さを原因とする故障の多さでした。セールスポイントだった「セミオートとポンプアクションを切り替えられる構造」が仇となったわけです。

冒頭の動画を見てもらえばわかりますが、フォアエンドに設けられた切り替えボタンを押してセミオート/手動のポンプアクションを切り替えるわけですが、いかにもヤバそうな故障しそうな構造であることが分解しなくてもなんとなくわかります。

たぶん、セミオートかポンプアクションのどちらかに固定して切り替え機能を使わなければ普通のショットガンとして使うのはさほど問題ないような気もしますが、ただそうなると「意味なく無駄にデカい重いかさばる使いたくねえ」と軍人や警官からは不満が出るでしょう。

特殊部隊OBの人の著書などでも「ショットガンを選ぶなら切り替え式は絶対に選ぶな。ポンプアクションか、またはセミオートのみのモデルにしろ」というコメントが散見されます。まあSPAS-12のことを揶揄しているとは限らないとは思うのですけどね。

映画スターとしての成功

確実な作動性が重視される銃としての評価は、このようにさんざんの失敗作と評されてしまったSPAS-12でしたが、その独特のスタイリングは映画界から高く評価されることとなります。おっちゃんのイメージですが、ブレイクのきっかけとなったのはやはり「ターミネーター」(1984)へ登場したことだったのではないかと思っています。その後は引きも切らず現代劇からSF作品まで長く重用される映画スターとなりました。

セミオート/ポンプアクションの切り替え機構をうまく使った作品というのはゲームを含めて個人的には出会ったことがないです。SPAS-12がサブカルの世界で人気者になった要因はやはりなんといってもその独特の外見でしょう。近未来感や異世界感をかもし出したいなら、レミントンM870だろうがベネリだろうが右に出る物はないと思っています。

SPAS-12とサブカル

映画

ヒッチャー (1986年)

制作国アメリカ
監督ロバート・ハーモン
公開1986年
出演C・トーマス・ハウエル
ルトガー・ハウアー

「ブレードランナー」(1982) のレプリカントのリーダー、ロイ・バッティ役で一躍、世界的俳優になったルトガー・ハウアーが悪役として出演しているサイコ・スリラー作品。たまたま乗せたヒッチハイカーに徹底的に付きまとわれ追いつめられる男性の話。

ルトガー・ハウアーは主演ではないのですが、完全に主演のC・トーマス・ハウエルを食っています。まあ脚本を読んだ段階でそうなることはわかっていたはずなので、理解したうえで引き受けたんでしょうね。

この作品のサイコ男のような「語らずして相手に圧をかけて恐怖を演出する」というのはアメリカ人の俳優ではなかなか難しいと感じます。アメリカ人の俳優はとかく主張をしがちでそれが表情などに出てしまう。「何を考えてるのか、何が目的なのか、これからどんな目にあわされるのか」が全く分からない恐怖をかもしだせるのはヨーロッパ人のハウアーならではなのかなと。

そんなハウアーが演じる猟奇的なイカレ男がクライマックスで使うのがSPAS-12。「ターミネーター」(1984)のシュワちゃんのように片手でヒョイっと片手撃ちするわけでもなく、セミオート射撃もせず、堅実に?普通のショットガンのようにポンプアクションで撃っていました。

ルトガー・ハウアーは身長185cmくらいだそうで、シュワちゃんもそうですが長身の彼が両手で持つとSPAS-12も、より映えますね。

未来世紀ブラジル (1985年)

制作国イギリス
監督テリー・ギリアム
公開1985年
出演ジョナサン・プライス
ロバート・デ・ニーロ

個人が国家によって完全に管理された未来のディストピアを描いた名作「未来世紀ブラジル」。独特のユーモアセンスはイギリス映画ならではと感じます。アメリカの豪快で単純明快な笑いと比べるとなんというか、イギリスのそれは湿度の高い笑いというのか、イギリス映画のセンスはアメリカ映画のそれよりも日本人に合っているような気もしますね。

SPAS-12は治安維持部隊のような集団の標準装備として登場します。SPAS-12の近未来的な外観それ自体がこの作品の持つメッセージ性を巧みに補完していました。

ターミネーター (1984年)

ターミネーター (1984年)
制作国アメリカ
監督ジェームズ・キャメロン
公開1984年
出演アーノルド・シュワルツェネッガー
リンダ・ハミルトン
マイケル・ビーン

おっちゃんがこの作品と初めて出会ったのは「日曜洋画劇場」でしたね。筋肉ムキムキの大男が大暴れ、え!ロボットなんかーい!という驚き。すべてが衝撃的でした。

ターミネーターT-800役には当初アーノルド・シュワルツェネッガーではなくマイケル・ビーンがキャスティングされていたのですが、シュワルツェネッガーがジェームズ・キャメロン監督と初対面した際に、シュワルツェネッガーはすでにT-800役に要求される役作りについて、歩き方や立ち居振る舞いなど事細かに分析を済ませており、それをキャメロン監督に熱弁したそう。

それを聞いたキャメロン監督に「アーノルドをターミネーター役にしよう。彼はこの役を理解している」と決断させたエピソードは有名です。

さて話をSPAS-12に戻します。銃マニアの間では知らぬ者はいないといっても過言ではないほど有名な「アラモ銃砲店」のシーンからSPAS-12の映画スターとしてのキャリアはスタートします。実用銃の世界ではポンコツの烙印を押されましたが、その成功はすでに約束されたものだったのかもしれません。

人間離れした肉体を持つシュワルツェネッガーがゴツく重いSPAS-12を軽々と持ち上げ片手撃ちを決める、本銃の最大の特徴ともいえるセミオート射撃もあますところなく活用する。銃マニアとしては本当にお腹いっぱい大満足の映画です。

男たちの挽歌 II (1987年)

制作国イギリス領香港
監督ジョン・ウー
公開1987年
出演チョウ・ユンファ

香港ノワールの代表作である「男たちの挽歌」シリーズの第2作目です。ちなみに私は英題の「A Better Tomorrow (《これまでより》良き明日)」のほうが趣きがあってこのシリーズをうまく表現できていると感じて好きです。なお1作目もメジャーな銃が沢山出てくるのでお勧めですよ。

さておきSPAS-12ですが、この銃に限らずこの作品の射撃描写はマズルフラッシュという域を超えて「火花放射器」というにふさわしい、銃口からのやりすぎ火花が印象的ですね。中国人はハデ好みなんでしょうかね。

ジュラシック・パーク (1993年)

制作国アメリカ
監督スティーブン・スピルバーグ
公開1993年
出演サム・ニール

ボブ・ペック演じるジュラシック・パークの飼育員マルドゥーンが後半にSPAS-12を使います。SPAS-12でなければならない必然性は描かれてないですが、ストックを展開して精密射撃を試みようとするシーンは、(思わず笑みがこぼれた?、ほっこりした?、感心した?)なんだろうぴったりくる言葉が思いつかない(笑)。

本作のヴェロキラプトルとされる恐竜は体高2mとして設定されているそうで、バックショットでは勝てそうになくスラッグでも微妙かなぁなどと公開当時思っていたおっちゃんです。というかおっちゃんならそもそもちゃんと動くかどうかわからないSPAS-12は選びません(笑)

マトリックス (1999年)

制作国アメリカ
監督ウォシャウスキー兄弟
公開1999年
出演キアヌ・リーブス

CGを駆使した当時最新の映像が衝撃的だったマトリックス。敵に捕らわれたリーダーのモーフィアスを救うべく主人公ネオが本部ビルに殴り込みをかけた際、守衛たちが装備している武器の一つがSPAS-12でした。サブカル作品ではあまり見ることのない固定ストックバージョンです。

ゲーム

バイオハザード CODE:Veronica (2000年)

バイオハザード CODE:Veronica
ジャンルホラーアクションアドベンチャー
開発元カプコン
発売元カプコン

2000年にドリームキャスト版がリリースされましたが、おっちゃんはドリキャスを持っていなかったので2003年にPS2版(PlayStation 2)が出るまで待たされました。スタート時のプレイヤーキャラクターはクレア・レッドフィールドですが、中盤以降はクレアの兄であるクリス・レッドフィールドにバトンタッチし、SPAS-12はそこでやっと登場。カスタマイズ要素などはなかった記憶(うろ覚え)。記事を書いてたらまたやりたくなってきました。

Hitman 2: Silent Assassin (2002年)

Hitman 2: Silent Assassin
ジャンルステルスアクション
開発元IO Interactive
発売元アイドス

ストックレスバージョンのSPAS-12が登場。動作はセミオートのみ。ステルスが本道のこのゲームではショットガンだのマシンガンだのはステルスプレイで溜まったうっぷんをランボープレイで晴らすときのためのものです(笑)

Far Cry 5 (2015年)

ジャンルオープンワールド・ファーストパーソン・シューティング
開発元ユービーアイソフト
発売元ユービーアイソフト

ヤバいお薬でトリップがテーマの人気FPSシリーズであるファークライ。SPAS-12はフルサイズのストックレスタイプが登場。FPSのためエジェクションポートは左側。動作はセミオートのみ。

State of Decay 2 (2018年)

State of Decay 2
ジャンルサバイバルアクション
開発元Undead Labs
発売元Xbox Game Studios

田舎町を舞台にゾンビと戦いつつ物資を確保して生存するサバイバルアクションゲーム。残念ながら英語版のみで日本語版はリリースされていません。

このゲームはなにげに銃器へのこだわりが凄くて大好きなんです。MAC-10、ミニUZI、フルサイズUZIが全部出てくるゲームなんて頭おかしいと思いませんか?(最高の賛辞)。

SPAS-12はあまりサブカルでは見かけないショートバージョンが登場。

SPAS-12のトイガン

これまでSPAS-12のトイガンを製造販売していたのは、シェリフ(SHERIFF)、KTW、東京マルイ、クラウンモデルだけだとおっちゃんは認識しています。

KTW (エアコッキング)

初期に流通したKTW純正はスチール削り出しパーツが多用された重厚な仕上がり。お値段もなかなかのもの。その後に流通したのは韓国のドンサン社によってコストカットの上OEM生産されたものです。

中学時代からのガンマニアっだったおっちゃんが地方から上京した1996年。東京で真っ先に向かったのはコンバットマガジンに掲載された広告を穴が開くほど読み返し、何度も通販した赤羽のフロンティア。

新生活のお祝いと自分に言い聞かせて貯金をはたいてKTWのSPAS-12を購入しました。正確な値段は覚えてませんがかなりいいお値段だったと記憶してます。

内部構造はKTWのお家芸的なマガジン前部からBB弾を流し込むタイプ。外装は金属パーツが多用された重厚感あふれるもので、十分に所有欲を満たしてくれるものでした。

東京マルイ (エアコッキング)

「マルイからエアコッキングのショットガンが出る!」と興奮したのを覚えています。1998年でしたかね。実際に購入してみましたが「この値段でよくSPAS-12を出してくれた!」と感動させられました。なんといっても値段が手ごろ。こいつをベースに「エイリアン2」(1986)のM-41Aパルスライフルを自作しようと勢いではじめたものの「あ、そういえばワシ工作苦手だったわ」と挫折したのはいい思い出です。

KTW (エアコッキング)シェリフ (外部ソース式ガスガン)

おっちゃんは昔から外部ソースというやつがどうも苦手だったので手を出さずじまいでした。ただ外観はかなりリアルだったようですね。お値段もかなりいいものだった記憶が。

おわりに

今回の記事ではイタリア、フランキ・SPAS-12ショットガンについて解説しました。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

本記事はSteamで販売されているソフトウェア「World of Guns: Gun Disassembly」の作者様の許可を得た上で使用し作成しています。

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